1962-08-28 第41回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号
一体法律が遡及して不利益を国民にかくることができるという法則が成り立つならば、法治国主義というものは名あって実なきものである。法治国主義というものが始まったことは、いやしくも法律の効果というものは現在より将来に及ぶものであって、過去にさかのぼって不利益を追及することはできないということが、大憲章以来、一二一五年のいわゆるマグナ・カルタ以来の大法則である。それが日本の憲法は、民法にその規定がない。
一体法律が遡及して不利益を国民にかくることができるという法則が成り立つならば、法治国主義というものは名あって実なきものである。法治国主義というものが始まったことは、いやしくも法律の効果というものは現在より将来に及ぶものであって、過去にさかのぼって不利益を追及することはできないということが、大憲章以来、一二一五年のいわゆるマグナ・カルタ以来の大法則である。それが日本の憲法は、民法にその規定がない。
行政につきましては終戰後の日本憲法の制定によりまして、法治国主義がとられたのでありまして、一切の行政行為は、嚴格に法律に基いて、法律の規定に従つて行われなければならない。
單に法律であれば何事もできる、いわゆる法を制定しさえすれば何でも可能なんだというふうな考え方がもしあるとすれば、これは法治国主義というふうな原則とは縁もゆかりもないところの法律万能主義的な思想であつて、決して現在われわれがこれから打ち立てようと努力しておる民主主義国家における法治主義というものとは、全然無関係なことだと思うのであります。